レーマンテーブルとは?M&Aの手数料をわかりやすく解説|総資産・株価レーマンの違いと落とし穴

レーマンテーブルとM&A手数料の計算方法を解説するイメージ

この記事では、複雑でわかりにくいといわれるM&A仲介会社の手数料の仕組みとレーマンテーブルについてお伝えします。
具体的な計算方法についても実際の数字を用いて解説していますので、「M&A仲介会社から説明を聞いたけどいまいちよくわからなかった」という方にはぜひご覧いただきたいです。

目次

はじめに|M&Aの手数料は「言われるがまま」では損をする

M&Aを検討するオーナーが必ず直面するのがレーマンテーブルと最低報酬を含む手数料の問題です。
しかし多くのオーナーは、仲介会社から提示されたレーマンテーブルの計算方法や手数料の仕組みを十分に理解しないまま契約を締結してしまっています。

レーマンテーブルという言葉は聞いたことがあっても、その計算方法に2種類あること、最低報酬の仕組み、そして手数料の見えない落とし穴まで理解しているオーナーはほとんどいません。

本記事では、M&A業界に10年以上携わってきた立場から、レーマンテーブルの仕組みと実務上の注意点を包み隠さず解説します。

レーマンテーブルとは何か|M&A手数料の基本を理解する

レーマンテーブルの手数料計算の仕組み

レーマンテーブルとは、M&Aの成功報酬を算出するための料率表です。
取引金額が大きくなるほど料率が下がる逓減方式を採用しています。

中小企業庁が推奨する標準的なレーマンテーブルは以下の通りです。

スクロールできます
取引金額料率
5億円以下の部分5%
5億円超〜10億円以下の部分4%
10億円超〜50億円以下の部分3%
50億円超〜100億円以下の部分2%
100億円超の部分1%

例えば取引金額が3億円の場合、手数料は3億円×5%=1,500万円となります。

レーマンテーブルはもともと投資銀行の料率表だった

レーマンテーブルはもともと米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが大型M&Aに使用していた料率表が起源です。
日本の中小企業M&Aに転用されましたが、大企業向けに設計された料率表であるため、小規模案件には割高になる場合があります。

レーマンテーブルの手数料計算|総資産・株価レーマンの違い

ここが最も重要なポイントです。

レーマンテーブルには大きく2種類あります。

どちらを採用しているかによって、同じ取引でも手数料が大きく変わります。

株価レーマンとは

株価レーマンは、売主へ実際に支払われた譲渡対価にレーマンテーブルの料率をかけて手数料を算出する方法です。

具体例で説明します。

譲渡対価10億円(株価8億円+退職金2億円)の案件の場合、計算式は以下の通りです。

5億円×5%+5億円×4%=4,500万円

総資産レーマンとは

総資産レーマンは、譲渡対価に加えて売手企業(対象会社)の負債も加えた金額にレーマンテーブルの料率をかけて手数料を計算する方法です。

同じく譲渡対価10億円の案件で、対象会社に5億円の負債がある場合、計算のベースは10億円+5億円=15億円になります。

計算式は以下の通りです。

5億円×5%+10億円×4%=6,500万円

つまり同じ取引でも、株価レーマンと総資産レーマンでは手数料に2,000万円の差が生じます。

売手・買手で異なる方式を使う仲介会社もある

さらに注意が必要なのは、売手には株価レーマンを適用しながら、買手には総資産レーマンを適用するという使い分けをするM&A仲介会社が存在することです。

一見、売手には関係ない話に思えます。

しかし買手はM&A仲介会社への手数料も考慮したうえで買収価格を決定します。

つまり買手の手数料負担が増えれば、その分だけ売手への譲渡対価が実質的に減少することになります。

売手はM&A仲介会社が買手にどのような手数料を課しているか知る術がありません。
手数料の面でも情報の非対称性が発生しているのです。

契約前に必ず確認すべきことは、売手・買手それぞれに適用される計算方式が株価レーマンか総資産レーマンかという点です。

レーマンテーブルと最低報酬|手数料の落とし穴

最低報酬とは何か

多くのM&A仲介会社では、レーマンテーブルで計算した手数料が一定額を下回る場合に、最低報酬として定めた金額を適用します。

例えば株価レーマンを採用する仲介会社で最低報酬が2,500万円に設定されている場合、2億円の案件の手数料はレーマンテーブルで計算すると2億円×5%=1,000万円ですが、最低報酬が適用されるため実際の手数料は2,500万円になります。

なぜ最低報酬が設定されているのか

最低報酬が設定されている理由は、M&A仲介会社の売上予測を立てやすくするためです。

M&A仲介業は仕入れという概念がなく、主な固定費は人件費・地代家賃・旅費交通費程度です。
売上が上がれば上がるほど利益率が高くなる構造のため、手数料金額(単価)と成約案件数(数量)を管理することで売上予測が立てやすくなります。

最低報酬はいわば仲介会社にとっての販売単価です。

問題は、最低報酬に見合う付加価値をオーナーが把握しにくい点にあります。

一般的な商品であればブランドや機能などで付加価値を判断できますが、M&Aアドバイザリーサービスの質は担当者によって大きく変わるため、支払う最低報酬に見合うサービスを受けられるかどうかは契約前には判断しにくいのです。

最低報酬の相場と確認すべきこと

大手M&A仲介会社の最低報酬は一般的に1,500万〜2,500万円程度です。

契約前に必ず以下を書面で確認してください。

  • 株価レーマンか総資産レーマンかという計算方式の確認に加えて、最低報酬の金額と支払い時期
  • 着手金・中間金が設定されている場合は、成約時に成功報酬から差し引かれるかどうかと返金されるかどうか

M&A手数料が安い仲介会社のリスク|レーマンテーブルと最低報酬だけで選ぶな

手数料が安い仲介会社に潜むリスク

手数料が安いことは一見オーナーにとってメリットに見えます。

しかし手数料が安すぎる場合、その背景にはサービスの省略がある可能性があります。

具体的なパターンとして以下が挙げられます。

買手を見つけた後は当事者同士で交渉するよう求めるケース、アドバイザーが最初から最後まで関与はするものの伝書鳩としての役割しか果たしていないケースなどがあります。

これらはM&Aプロセスを省略しているからこそ手数料を抑えられているという構造です。

士業事務所によるM&A支援の注意点

意外な盲点として、弁護士事務所や会計事務所などの士業事務所がM&A支援をしているケースにも注意が必要です。

士業事務所によるM&A支援は手数料が安いことが多いですが、多くの場合はデューデリジェンスや契約書作成など特定のプロセスのみの支援となります。

相手探しや条件交渉については報酬の範囲外であり、オーナー自身が対応しなければなりません。

士業としてM&A実務を任せられる能力は当然ありますが、サービス範囲が特定のプロセスのみという点を理解しておく必要があります。

手数料が300万円以下の場合は、どこまでどれくらいの支援をしてくれるかを事前に必ず確認してください。

重要なのは「なぜ安いのか」を考えること

手数料が安いところに依頼したいというのはごく自然な考えです。
しかし大切なのは「なぜ安いのか」を考えることです。

長年育ててきた会社を譲渡する際に、支払う手数料に見合う付加価値を提供してくれる担当者なのかという観点で仲介会社・アドバイザーを選ぶことが最も重要です。

ツギテラスのレーマンテーブルと手数料設定について

ツギテラスでは中小企業庁が推奨するレーマンテーブルに従って手数料を設定しています。(売手も買手も株価レーマンを採用)

最低報酬を1,000万円(税別)に設定した背景をお伝えします。

大手仲介会社の最低報酬の平均が1,500万〜2,500万円程度であることを踏まえ、プロフェッショナル品質のサービスをより多くのオーナーに届けるために業界平均より低い水準に設定しました。

一方で代表社員が全案件に直接関与する体制を維持するため、年間に成約までサポートできる件数は限られます。

M&Aの相談から成約までの成約率は約30%程度であるため、関与した案件すべてが成約につながるわけではありません。
こうした事業構造を踏まえたうえで設定できる最低限の金額が1,000万円でした。

手数料はホームページ上に明記しており、ご相談時にも最初にお伝えしています。
手数料を理解したうえでご依頼いただくことを大切にしています。

(参考:中小企業庁 中小M&Aガイドライン

まとめ|M&Aの手数料で後悔しないために確認すべきこと

レーマンテーブルについて解説してきました。最後に確認すべきポイントをまとめます。

契約前に必ず確認すべき項目は以下の通りです。

  • 株価レーマンか総資産レーマンか
  • 売手・買手それぞれへの適用方式
  • 最低報酬の金額と支払い時期
  • 着手金・中間金の有無と返金条件
  • サービスの範囲(相談からクロージングまで一貫して対応するか)

手数料は安ければいいというものではありません。
支払う手数料に見合う付加価値を提供してくれるかどうかを見極めることが、M&A成功への第一歩です。

M&Aの仲介会社選びの詳細については以下の記事もご参照ください。

M&A仲介会社の選び方|7つのポイントで徹底比較

M&A仲介会社の問題点5選|元アドバイザーが実態を告発

よくある質問

レーマンテーブルの計算方式は契約前に確認できますか?

はい、確認できます。
アドバイザリー契約書に計算方式が明記されているため、契約前に必ず確認してください。
口頭での説明だけでなく書面での確認が重要です。

総資産レーマンと株価レーマンどちらが一般的ですか?

中小企業庁の中小M&Aガイドラインでは株価レーマン(譲渡対価基準)を推奨しています。
ただし実務上は総資産レーマンを採用する仲介会社も多く存在します。

最低報酬はいつ支払うのですか?

最低報酬は成功報酬の一部であるため、原則として最終契約締結時に支払います。
着手金とは異なり、成約しなければ支払いは発生しません。
ただし契約内容によって異なる場合があるため必ず確認してください。

手数料の交渉はできますか?

仲介会社によっては交渉できる場合もありますが、手数料の交渉よりも「手数料に見合うサービスを提供してくれるか」の見極めを優先することをおすすめします。

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この記事を書いた人

野村證券投資銀行部門でパナソニック・日本ペイント等の大型M&Aアドバイザー、ファイナンスアドバイザーを経験後、M&Aベンチャー(現・上場企業)にジョインし中小企業M&A仲介に従事。同社上場後、個人事業主として独立。合同会社ツギテラスを設立。行政書士登録済み。M&A業界歴10年以上。代表社員が全案件に直接関与する完全成功報酬型のM&Aアドバイザリーを提供。

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